■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2008年08月10日 楽しいJava講座 - 初心者から達人へのパスポート vol.115 セルゲイ・ランダウ バックナンバー: http://www.flsi.co.jp/Java_text/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ [このメールマガジンは、画面を最大化して見てください。] ======================================================== ◆ 01.3Dグラフィックスのアプリケーション開発 ======================================================== さて、前回は球体にいくつかの方向から白色光を当てて見てみましたが、 このとき、球体が少しいびつに見えたはずです。 実は、この球体は実際にいびつに作られているのです。 しかし、球体が小さかったし、光の色や照射する方向のせいで、あまり いびつさが目立たなかったのです。 では、球体をSphere(0.5f)というように半径を大きくし、光の色を 黄色で少し暗いColor3f(3.0f, 3.0f, 0.0f)に変え、照射する向きを Vector3f(-1.0f, -1.0f, -1.0f)に変えてみましょう。 つまり、次のようにinitialize()メソッドを書き換えてみてください。 -------------------------------------------------------- private void initialize() { this.setSize(300, 200); this.setContentPane(getJContentPane()); this.setTitle("立方体と球体"); GraphicsConfiguration config = SimpleUniverse.getPreferredConfiguration(); Canvas3D canvas = new Canvas3D(config); SimpleUniverse universe = new SimpleUniverse(canvas); BranchGroup group = new BranchGroup(); TransformGroup transGroup = new TransformGroup(); transGroup.addChild(new ColorCube(0.3)); Transform3D trans = new Transform3D(); trans.setTranslation(new Vector3d(-2.0, -1.0, -5.0)); transGroup.setTransform(trans); group.addChild(transGroup); BranchGroup group2 = new BranchGroup(); Sphere sphere = new Sphere(0.5f); group2.addChild(sphere); Color3f color = new Color3f(3.0f, 3.0f, 0.0f); BoundingSphere bounds = new BoundingSphere(new Point3d(0.0,0.0,0.0), 1.0); Vector3f lightDirection = new Vector3f(-1.0f, -1.0f, -1.0f); DirectionalLight light = new DirectionalLight(color, lightDirection); light.setInfluencingBounds(bounds); group2.addChild(light); group.addChild(group2); universe.getViewingPlatform().setNominalViewingTransform(); group.compile(); universe.addBranchGraph(group); getJContentPane().add(canvas); } -------------------------------------------------------- 編集が終わったら、保管して実行してみてください。球体の表面が複数の 三角形を組み合わせて作られた凸凹状に見えるでしょう。 実は、このSphereという球体の表面は、複数の三角形を組み合わせて 作られているのです。 一般にJava 3Dでは、複雑な形状は多角形(polygon)を複数組み合わせる ことによって作成するのですが、多角形の一番単純なものが三角形ですね。 ┌補足─────────────────────────┐ 多角形は、三角形、四角形、五角形、六角形、・・・・のように 複数の角を持つ図形のことです。その中で一番単純なものが三角形 ですね。 この多角形(polygon)のことをコンピューターのグラフィックス 関係の専門書では、英単語をカタカナ書きに変えただけの 「ポリゴン」という言葉で表記していることが多いようです。 専門書を読んでいてポリゴンという言葉が出てきたら、多角形 のことだと理解してください。 └───────────────────────────┘ というわけで、複雑な形状は、ほとんどの場合は三角形を複数組み合わせる ことによって成形します。 そして、これらの多角形(三角形)を複数組み合わせたときに網の目のように なりますから、この網状のものをメッシュ(mesh)と呼びます。メッシュ(mesh) とは文字通り、網の意味ですね。 Sphereという球体もこの多角形(三角形)によるメッシュで作られるのですが、 デフォルトでは、メッシュが粗い(三角形の数が少ない)ためにいびつさが目立つ のです。 メッシュを細かく(三角形の数を多く)すれば、いびつさは目立たなくなります。 ┌補足─────────────────────────┐ このメッシュという言葉は、グラフィックスの他に、CAE(Computer Aided Engineering)における構造解析などでもよく使われます。 構造解析というのは、建築物や工業的製造物の強度などを調べる ための解析で、複雑な形状をした製造物をそのまま解析することは 困難なので、製造物をメッシュに、つまり、複数のポリゴンに 分割して、解析が行われます。 └───────────────────────────┘ では、ソース・コードを書き換えて、メッシュを細かくしてみましょう。 メッシュの網目の数を増やすべく、Sphereのコンストラクターの指定を Sphere(0.5f, Sphere.GENERATE_NORMALS, 100) に変えてみましょう。(この二つ目の引数は図形の幾何学的特性に関するフラグで、 三つ目の引数は網目の数に対応します。このフラグはPrimitiveという(基本図形を 表現する)クラスで定義されていますが、詳しいことは後述します。) つまり、次のようにinitialize()メソッドを書き換えてみてください。 -------------------------------------------------------- private void initialize() { this.setSize(300, 200); this.setContentPane(getJContentPane()); this.setTitle("立方体と球体"); GraphicsConfiguration config = SimpleUniverse.getPreferredConfiguration(); Canvas3D canvas = new Canvas3D(config); SimpleUniverse universe = new SimpleUniverse(canvas); BranchGroup group = new BranchGroup(); TransformGroup transGroup = new TransformGroup(); transGroup.addChild(new ColorCube(0.3)); Transform3D trans = new Transform3D(); trans.setTranslation(new Vector3d(-2.0, -1.0, -5.0)); transGroup.setTransform(trans); group.addChild(transGroup); BranchGroup group2 = new BranchGroup(); Sphere sphere = new Sphere(0.5f, Sphere.GENERATE_NORMALS, 100); group2.addChild(sphere); Color3f color = new Color3f(3.0f, 3.0f, 0.0f); BoundingSphere bounds = new BoundingSphere(new Point3d(0.0,0.0,0.0), 1.0); Vector3f lightDirection = new Vector3f(-1.0f, -1.0f, -1.0f); DirectionalLight light = new DirectionalLight(color, lightDirection); light.setInfluencingBounds(bounds); group2.addChild(light); group.addChild(group2); universe.getViewingPlatform().setNominalViewingTransform(); group.compile(); universe.addBranchGraph(group); getJContentPane().add(canvas); } -------------------------------------------------------- 編集が終わったら、保管して実行してみてください。球体の表面がなめらかに なって、球面らしくなりましたね。 では、今日はここまでにします。 何か、わからないところがありましたら、下記のWebページまで質問を お寄せください。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ★ホームページ: http://www.flsi.co.jp/Java_text/ ★このメールマガジンは 「まぐまぐ(http://www.mag2.com)」 を利用して発行しています。 ★バックナンバーは http://www.flsi.co.jp/Java_text/ にあります。 ★このメールマガジンの登録/解除は下記Webページでできます。 http://www.mag2.com/m/0000193915.html ★このメールマガジンへの質問は下記Webページにて受け付けて います。わからない所がありましたら、どしどしと質問をお寄 せください。 http://www.flsi.co.jp/Java_text/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ Copyright (C) 2008 Future Lifestyle Inc. 不許無断複製 |