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                      2009年09月20日

    Java総合講座 - 初心者から達人へのパスポート
                  vol.171

                                セルゲイ・ランダウ
 バックナンバー: http://www.flsi.co.jp/Java_text/
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[このメールマガジンは、画面を最大化して見てください。]


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◆ 01.SOAPのアプリケーション(Webサービス)
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今回は、Antのインストールから順番にやっていきましょう。

では、LinuxのPCを立ち上げてから、EclipseのPC(WindowsのPC)でTera Termを
使ってLinuxのuser01にログインしておきましょう。
そして、
su -
でrootになっておきます。


では、Antのインストールです。

まず、Antがインストール済みでないか確認しましょう。

yum list ant

と入力します。

あらまあ、ant.i386(現在バージョン1.6.5)がインストール済み(installed)に
なっていますね。
実は、これはTomcatをインストールしたときに前提パッケージとして一緒にインス
トールされていたのでした。

という訳で、念のためにインストールされたAntの状況だけ確認しておきましょう。

では、まず最初にantコマンドの所在場所を確認しておきましょう。

which ant

と入力して下さい。

/usr/bin/ant

という結果が返ってきますね。


続いて、AntのJARファイルがどこにインストールされているのか確認しましょう。
これにはRPMのコマンドを利用します。

rpm -ql ant

と入力して下さい。こうすると、antパッケージでインストールされたファイルや
ディレクトリーのリストが得られます。(これに該当するyumコマンドは無い。)

この結果、AntのJARファイルは

/usr/share/java

というディレクトリーに入っていることがわかりますね。



では、次にMySQLのインストールを行いましょう。まず、

yum list mysql-server

と入力して、インストール可能か確認しましょう。Available Packagesとして
mysql-server.i386(現在のバージョンは5.0.45)がリストされますね。
これをインストールしましょう。

yum -y install mysql-server.i386

と入力します。


MySQLのJDBCドライバーもインストールしておく必要がありますので、ここでイン
ストールしておきましょう。
Linuxでは、wgetというコマンドを使ってファイルをダウンロードする方法も覚えて
おく必要がありますので、今回は、wgetを使ってMySQLのミラー・サイトから直接、
圧縮ファイルをダウンロードしてインストールしてみましょう。
(wgetは指定したURLからファイルをダウンロードするコマンドです。
wget URL
という形式で指定すると、URLで示されたファイルがダウンロードできます。)

まず、JDBCドライバーのダウンロードですが、ミラー・サイトとして、例えば、
JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)のFTPサイトを利用する場合は、

wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/mysql/Downloads/Connector-J/mysql-connector-java-5.0.8.tar.gz

と入力して下さい。

圧縮ファイルmysql-connector-java-5.0.8.tar.gzがダウンロードされるので、これを
解凍&展開しましょう。(.tar.gzファイルに対してはtar -zxvfコマンドを使います。)

tar -zxvf mysql-connector-java-5.0.8.tar.gz

すると、mysql-connector-java-5.0.8というディレクトリーができて、この配下の
どこかにJDBCドライバーのJARファイルがありますので、どこにあるか探しましょう。
(そのJARファイルの名前はvol.083に書いたようにmysql-connector-java-5.0.8-bin.jar
です。)

find . -name mysql-connector-java-5.0.8-bin.jar -print
(ここでドット(.)は現行ディレクトリーを意味する。すなわち現行ディレクトリー
の配下を探索することを指定している。なお、ファイル名の入力が面倒であれば代わりに
*.jarというようにワイルドカードを使って指定してもよいが、その場合.jarがつくファ
イルがたくさんリストされることになる。)

と入力します。すると

./mysql-connector-java-5.0.8/mysql-connector-java-5.0.8-bin.jar

という結果が返ってきますから、mysql-connector-java-5.0.8ディレクトリーの直下
にあることが分かります。

このJARファイルをTomcatのディレクトリーにコピーしましょう。
vol.085では、C:\Tomcat6.0\libにコピーしましたが、今のLinuxのPCのTomcatでは、
それに該当するlibディレクトリーは/usr/share/tomcat5/shared/libになります。
ということで次のコマンドでコピーしましょう。

cp ./mysql-connector-java-5.0.8/mysql-connector-java-5.0.8-bin.jar /usr/share/tomcat5/shared/lib

これで、圧縮ファイルmysql-connector-java-5.0.8-bin.jarやディレクトリー
mysql-connector-java-5.0.8はもう用はないので、削除しましょう。

rm -f mysql-connector-java-5.0.8.tar.gz

rm -rf ./mysql-connector-java-5.0.8

┌補足─────────────────────────┐
ディレクトリー名やファイル名が長くて、入力するのが面倒な
ときは、途中まで入力してからTabキーを押すと、(それまでに
入力した文字列に続く文字列が一つだけしかないときは)続き
の文字列が自動的に入力されます。
また、上向きや下向きの矢印のキー(↑や↓のカーソル・キー)
を押すと今までに入力してきたコマンドが再表示されるのは、
Windowsのコマンド・プロンプトのときと同様です。
└───────────────────────────┘



あとは、残りのJAF(JavaBeans Activation Framework)とJavaMailのインストール
ですが、これはこれまでEclipseのPC(WindowsのPC)で使っていたものをLinuxのPC
にコピーして使うことにしましょう。

まず、EclipseのPC(WindowsのPC)からLinuxのPCにファイルをコピーできるように
するために、FTPサーバーをLinuxのPCにインストールしておきましょう。

yum list vsftpd

と入力してvsftpd.i386がavailableであることを確認して下さい。これをインストール
します。

yum -y install vsftpd.i386

続いて、/etc/servicesファイルにftpのポート番号が登録されていることを確認します。
grep "ftp" /etc/services
(出力されたリストの中に下記のような4行がリストされていればOKです。)
ftp-data        20/tcp
ftp-data        20/udp
ftp             21/tcp
ftp             21/udp          fsp fspd

上を見るとわかるように使用するポート番号は21と20です。ファイア・ウォールなど
でこのポート番号を塞がないように注意して下さい。


続いてvsftpdの構成ファイルを編集します。

vi /etc/vsftpd/vsftpd.conf

このファイルの中で次の2行の先頭の#を削除します。

#ascii_upload_enable=YES
#ascii_download_enable=YES
(↓↓これらを下のように先頭の#を削除する。)
ascii_upload_enable=YES
ascii_download_enable=YES

(このファイルを保存して閉じます。)

これらの2行の#(コメントのマーク)をはずすことは、ASCIIモードでのファイル転送
を可能にすることを意味します。デフォルトではセキュリティーの観点からこれらを
コメント行にして無効にしていたのですが、開発作業においては、ASCIIモードでの
ファイル転送が必要になることがあるので、#を削除しました。

なお、今までと同じくこのvsftpdもセキュリティーを無視した設定を行っています。
本番用であれば、セキュリティーを考慮して、もっと細かい設定を行いますし、ファイ
ル転送はSSLを使って暗号化しますし、そもそも厳重な管理の必要なコンピューターの
場合は、FTP自体を使用できないようにします。

セキュリティーを考慮した取り扱いについては、あとでセキュリティー関連の話を
するときに、まとめて説明いたします。


続いて、クライアントのアクセス許可設定を行います。
vi /etc/hosts.allow
(このファイルに次のような行を追加します。)
vsftpd : 192.168.0.1 192.168.0.2
(ここで192.168.0.1と192.168.0.2はクライアントのIPアドレスです。ご自分が使って
いるEclipseのPCの正しいIPアドレスに置き換えて下さい。)
(このファイルを保存して閉じます。)

さらに、他のすべてのクライアントのアクセス拒否設定を行います。
vi /etc/hosts.deny
(このファイルに次のような行を追加します。)
vsftpd : ALL
(このファイルを保存して閉じます。)


では、このFTPサーバーを起動してみましょう。

service vsftpd start

ここら辺の操作は、前回のtomcat5のときと同様ですね。

このFTPサーバーもLinuxのPCを起動したときに自動起動されるように設定しましょう。

chkconfig vsftpd on

と入力します。
この設定状況を確認しましょう。

chkconfig --list vsftpd

と入力します。
このコマンドに対する結果が、

vsftpd         0:off   1:off   2:on    3:on    4:on    5:on    6:off

というふうに、2、3、4、5がonになっていれば自動起動が設定されています。


WindowsにはFTPのクライアント機能が含まれているのでこれを使用して動作テスト
してみましょう。

Windowsのコマンド・プロンプトを開いて、次のコマンドを入力します。

ftp 192.168.0.5
(ここで192.168.0.5はFTPサーバー(LinuxのPC)のIPアドレスです。皆様の環境
での正しいIPアドレスに置き換えて下さい。)

User (192.168.0.5:(none)):

というふうにユーザー名を聞いてくるので、ユーザー名(user01)を入力し、

Password:

と表示されたらパスワード(87654321)を入力しましょう。

230 Login successful.

というふうにログインに成功した旨のメッセージが返ってくれば動作確認はOKです。

quit

と入力してFTPから抜け出て下さい。



さて、通常の開発者は上のようなFTPのクライアント機能ではなく、もっと
使い勝手の良いFTPクライアント・ソフトを使っています。
よく使われているのが、FFFTPという無料のソフトです。これはVectorなど
で公開されています。下記URLからダウンロードできますので、ダウンロード
およびインストールしておいて下さい。

http://www.vector.co.jp/soft/win95/net/se061839.html

インストールが終わったら、動作確認しましょう。FFFTPを起動して下さい。
「ホスト一覧」というウインドウが開きますので、「新規ホスト」ボタンを
クリックし、「ホストの設定名」には、

CentOS

というように、LinuxのPCを表現する分かりやすい名前を適当に入れ、
「ホスト名(アドレス)」には、LinuxのPC(FTPサーバー)のIPアドレス

(筆者の環境では) 192.168.0.5

というように正しい値を入力し、「ユーザ名」には

user01

を入力し、「パスワード/パスフレーズ」にはそのユーザーのパスワードを

87654321

のように入力し、「ローカルの初期フォルダ」には最初に表示したいフォルダー
を指定します。(フィールドの右側にあるボタンをクリックして選択する。)
これは最初に表示するフォルダーというだけであり、あとで変更可能ですが、
ここでは、あとの作業を容易にするために、

C:\Tomcat6.0\lib

を指定しておきましょう。

そして「OK」ボタンをクリックします。

「ホスト一覧」ウインドウに先ほどのホストの設定名(CentOS)がリストされ
ますので、それを選択して、「接続」ボタンをクリックしましょう。

そうすると、FFFTPのメイン画面が表示され、左側には自分(WindowsのPC)側の
フォルダー(先ほど指定したC:\Tomcat6.0\lib)の中身が表示され、右側には
LinuxのPCのuser01のホーム・ディレクトリー(/home/user01)の中身が表示され
ます。ただし、現在は/home/user01の中は空っぽのはずです。

この左側のC:\Tomcat6.0\libの中身のリストの中に

activation.jar



mail.jar

というJARファイルがありますね。これがそれぞれJAFのJARファイルとJavaMail
のJARファイルでしたね。
この2つのファイルを複数選択して下さい。(Ctrlキーを押しながら、それぞれ
の行をクリックすると複数選択できる。)

そして、ツール・バーの中の「B」のマーク(緑色)のボタンをクリックして下さい。
これは、バイナリー・モードで転送することを指定するものです。JARファイル
はテキスト・ファイルではないので、必ずバイナリー・モードで転送する必要が
あります。

それから、ツール・バーの中の上向きの矢印(↑)のマーク(矢印は青い色をしている)
のボタンをクリックして下さい。(上向きの矢印はアップロードを意味します。つまり、
自分のPC(WindowsのPC)からホスト(LinuxのPC)へファイル転送することを意味し
ます。)

そうすると、右側の/home/user01のほうにactivation.jarとmail.jarがリストされ
ますね。これで、Linux側にactivation.jarとmail.jarがコピーされたことがわか
ります。

┌補足─────────────────────────┐
ここで、FFFTPの操作の仕方を簡単に補足しておきましょう。

現在表示されているフォルダー(ディレクトリー)の上の階層
のフォルダー(ディレクトリー)を表示したいときは、フォル
ダー名(ディレクトリー名)の左側にあるフォルダのアイコン
(矢印が左上がりにグニュっと曲がっているほうのアイコン)
のボタンをクリックします。

ファイルのリストの中にフォルダーが含まれている場合は、それ
をダブル・クリックすると、そのフォルダーの中が開きます。

あるいは、フォルダー名(ディレクトリー名)の欄を直接書き換
えてEnterキーを押すことによっても、希望するフォルダーを開
くことができます。

それから、先ほどの「B」のマークのボタンの左側にある「A」の
マーク(赤色)のボタンは、アスキー・モードで転送すること
を指定するもので、テキスト・ファイルの場合はこれをクリック
します。このとき(漢字などの)日本語の文字は文字コードを変換
して転送することができます。そのときには、「EUC」や「JIS」
というボタンをクリックします。これらは、ホスト側(=相手側、
当メールマガジンではLinuxのPC)のファイルの文字コードに
合わせて指定します。あるいは「無」というボタンをクリック
すると、文字コードの変換は行いません。「EUC」や「JIS」を
指定したときは、さらに「カナ」というボタンをクリックする
と半角のカナ文字を全角に変換してくれます。(この全角への
変換は、文字バケを防ぐために使用する。)

また、先ほどの上向きの矢印(↑)のマークのボタンの左側に
ある下向きの矢印(↓)のボタンはその逆方向のファイル転送、
つまりダウンロードすることを意味します。
このボタンは、右側(ホスト側)のファイルを選択したときに
クリック可能になります。

また、FFFTPではフォルダーごと転送することもできます。その
場合は、先ほどファイルを選択したのと同じように、フォルダー
を選択してから矢印のマークのボタンをクリックします。
└───────────────────────────┘

これで、FTPでの作業は終わりましたので、FFFTPのウインドウは閉じておきましょう。



では、Tera Termのほうに戻って下さい。

先ほど/home/user01にコピーした2つのファイルをTomcatのフォルダーに
移動しましょう。

mv /home/user01/activation.jar /usr/share/tomcat5/shared/lib

mv /home/user01/mail.jar /usr/share/tomcat5/shared/lib

これで、JAFとJavaMailのインストール作業は完了です。



さて、これでインストール作業は一段落がついたので、ここでyumがダウンロードして
キャッシュ(cache=以後の作業を迅速に行えるようにするために一時保管すること)
したファイル類を削除しておきましょう。(ほったらかしにするとディスクを無駄遣い
することになるし、ディスク容量をたくさん食うと、今後の作業に支障をきたすことも
ありえます。)

yum clean all

と入力します。



(次回に続く)


では、今日はここまでにします。



[Windowsは米国Microsoft Corporationの、米国およびその他の国における登録商標です。]

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