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                         2005/05/30
         自主学習のコツ Vol.006
                        薮荷筒丸
     バックナンバー: http://www.flsi.co.jp/gakushu/
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2.学習意欲を高めるために
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今回は、「楽しい教材」についてお話したいと思います。
ここで楽しい教材というのは、学習の補助になったり、学習に
興味を持たせてくれる、本や道具類のことです。


ここで、いきなりアインシュタイン(Albert Einstein)のお話
をします。
アインシュタインというと、相対性理論というむずかしそうな
理論を提唱した天才的な物理学者ということで知られています
ね。相対性理論(細かく言うと、特殊相対性理論と一般相対性
理論の2つがある)については、後の機会に雑談コーナーでわ
かりやすく解説したいと思いますが、ここではその話ではなく、
アインシュタインがどういう人だったのかというお話をしたいと
思います。


アインシュタインはものすごく頭のいい人だと思うかも知れませ
んが、実はそうではなかったのです。
まず、アインシュタインは生まれてから言葉がしゃべれるように
なるのが、普通の乳幼児よりもかなり遅かったそうです。それで、
両親が「この子は知能障害児なのではないか?」とたいへん心配
したというエピソードが残されています。
そして、子供の頃のアインシュタインは、やはり勉強がさっぱり
できませんでした。いわゆる劣等生だったのです。

ところが、ある日、誕生日に親戚の人から、ある本をプレゼント
されると、アインシュタインはそれをむさぼり読みます。その本
は、自然のさまざまな神秘(謎)を科学的に解き明かす、とても
おもしろい本だったのです。

それからアインシュタインは科学に強い興味を持つようになり、
自分でも将来、自然の神秘を解き明かせるような人間になりたい
と思うようになりました。そうして猛烈に勉強するようになった
のです。といっても、勉強するのは主に理科やその関連科目(数
学)ばかりです。

ところで、ドイツでは、ギムナジウムという9年間の学校を卒業
してから大学に入る形になっています。
アインシュタインはギムナジウムは卒業しましたが、やはり大学
入試に失敗してしまったため、予備校のような感じの学校(名前
は忘れましたが、日本の予備校とは異なり、ここで勉強すればエ
スカレーター式で大学に入学できます)に入りました。そうして
大学(スイスの大学)に入学したのです。

大学に入った彼は、授業には出ずに、もっぱら一人で大好きな
物理学やそれに関係する数学の勉強ばかりしていました。

大学を卒業した彼は、知り合いの取り計らいでスイスの特許局に
就職しますが、閑職だったので、合間に物理学の研究をしていま
した。紙とペンだけで理論を展開していきます。人が来たら、さ
っと紙を引出しの中に隠してしまうということを繰り返しながら、
偉大ないくつかの論文を書き上げ、やがてはその研究が認められ
て大学に就任するようになるのです。そして、やがてはノーベル
物理学賞を受賞します。(ちなみにノーベル賞の対象となったの
は、相対性理論とは別の論文です。)

ナチスが台頭してくると、ユダヤ人であった彼はアメリカに亡命
しました。

彼は頭の回転も遅かったし、記憶力も悪かったと言われています。
しかし、物理学が大好きであったために、ものすごい集中力を
発揮して勉強できた、あるいは研究できたことが、彼が成功した
一番大きな要因であると思われます。
他のノーベル賞級の物理学者にもよくあることですが、集中する
と後ろから肩をたたいても気がつかないこともあるくらいなので
す。これは、以前紹介した

「EQ こころの知能指数」
http://www.flsi.co.jp/books/eq1.htm

の中に書かれている「フロー」の状態だといえるでしょう。

彼はまた、とても粘り強い人でした。自然の謎を解き明かしたい
という強い意欲が、粘り強く考え通す力を生み出していたようで
す。しかし、やはり気分転換は必要です。彼は休みの日にはボー
ト遊びなどをしていましたし、研究に疲れてくると、バイオリン
を引いていました。彼は子供の頃からバイオリンを習っていて、
バイオリンが上手だったのです。
(こういった有名な学者には、なぜか楽器の演奏を好む人が多い
のですが、実は、楽器の演奏が頭をよくする働きがあることが
最近わかってきています。)

彼はまた、周囲の人たちや、頼みごとをしてくる人たちにとても
温かい思いやりを示した優しい人でもありました。
晩年は、世界の平和を願って力を尽くしたことでも有名ですが、
実はこれは、彼が米国の原子爆弾開発のきっかけを作ってしまっ
たことに対する罪悪感を持っていたことにも起因しています。

彼は第二次大戦中、ドイツのナチスが原子爆弾を開発しようとし
ていると聞き、危機感から米国が原子爆弾を早急に開発すべきで
あることを当時のルーズベルト大統領に進言したのでした。
後で実際に原子爆弾が広島や長崎で使用されたことを聞くと、彼
はそれを悲しんで「私が原子爆弾の開発を進言したのは人生最大
の大きな過失だった」と語りました。

一方、ドイツにはたいへん優秀な物理学者がたくさんいましたが、
ナチスから原子爆弾を開発するように言われたときに「原子爆弾
を作ることは現実的には不可能です」と答えたというエピソード
があります。これは、本当に不可能だと思ったからではなく、
ドイツの物理学者たちには、心の中ではナチスに強い反感を持っ
ていた人が少なくなく、ナチスに原子爆弾を持たせないようにし
ようとしたからだそうです。


話が長くなりましたが、アインシュタインが親戚の人にプレゼン
トされた本は、まさに「楽しい教材」です。アインシュタインは、
この本をきっかけとして、ノーベル賞を取るくらいまで勉強する
ようになったわけです。

アインシュタインのようになれるかどうかは別としても、こうい
った楽しい教材があると、勉強意欲が増すことは確かです。以前
紹介した

「無気力の心理学」
http://www.flsi.co.jp/books/mukiryokusinri1.htm

を読んでもわかるように、子供たちが本来持っている知的好奇心
をうまく引き出すためには、楽しい適切な教材をそろえてあげる
という周囲の努力も重要です。


楽しい教材というと、たとえば一回目にお話した学研の雑誌

「科学」
http://kids.gakken.co.jp/kagaku/

も楽しい教材ですね(最近、「科学のたまご」というのも創刊
されたようですね)。

また、社会科(と英語?)の教材としては、しゃべる地球儀

「オデッセーグローブ」
http://www.flsi.co.jp/books/globe1.htm

もとても楽しい教材ですね。

こういった「楽しい教材」を用意してあげると、遊んでいる感覚
で勉強ができますので、楽しく知識が身につきますし、勉強意欲
も増してきます。

その他、科学に興味を持たせる本としては、株式会社ニュートン
プレスの雑誌

「ニュートン」
http://www.newtonpress.co.jp/

や講談社の

「ブルーバックス」
http://www.kodansha.co.jp/bluebacks/

などもいいでしょう。これらは、むしろ大人が読んで楽しめる
教材かも知れません。

社会科系としては、最近は歴史を漫画で描いた本もたくさん出
ていますが、これもまた楽しい教材として役に立つでしょう。
しかし、私は漫画の本よりも歴史小説を読むことをお勧めします。
詳しくは後の機会に解説しますが、漫画よりも小説の方が、ずっ
と頭をよくする効果があるからです。
私も、歴史小説が好きでした。特にお気に入りは吉川英治でした。



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*.雑談コーナー
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人類(ホモ・サピエンス)の祖はアフリカで発生し、世界中に
拡散して行き、様々な人種に分化していったと考えられてい
ます。

古代日本には、東南アジアから来た人々や朝鮮半島から来た人々
や中国大陸から来た人々など様々な人々が住み着き、現在の日本人
ができあがったと考えられます。
現在の日本語が韓国語(朝鮮語)と構文がそっくりで、同じウラル・
アルタイ語系に属するということからも、大昔に朝鮮半島から渡来
した人々とのつながりがうかがえます。

日本人のルーツについて興味を持っている人も多いことでしょう。

また、現在は、韓流ブームとか言って、韓国の俳優やら韓国文化や
らに熱狂するファンも増えているそうですね。(私は、こういう
「ブーム」にはあんまり興味はないのですが。)

韓国ファンの人は、下記の本を読んでみるのもいいかも知れま
せん。古代日本の謎や古代朝鮮とのかかわりを知るための糸口
になるかも知れません。


万葉集はいわゆる万葉仮名と呼ばれる漢字で書かれていると考え
られていますが、これらの歌の中には、古代朝鮮語で読めるもの
が少なくありません。そして、古代朝鮮語で読むと・・・。

「もう一つの万葉集」
http://www.flsi.co.jp/books/manyoushu1.htm

この本の解釈が正しいかどうかは別として、日頃「万葉集の勉強
なんてつまらなくてやっていられない」という生徒も、あらため
て万葉集の謎に興味を引かれるようになることでしょう。


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