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【楽しい中国語入門】 vol.031

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31. 親指族(その3)

 中国で初めて携帯電話を買おうとする日本人は、中国の携帯電話に戸惑ってしまうでしょう。それは日本とは違うところが結構あるからです。

 中国の携帯電話機には
カー
(SIMカード)
という1cm X 2cm位の小さなカードが挿入されて使われます。
 このカードにはSIM(Subscriber Identity Module)という小さなICチップが組み込まれており、このICチップに電話番号、通信会社(電話会社)などの情報が入っています。多くの機能はこのカードで決まります。

 電話機本体は通信会社とは独立しており、電話番号などの情報も持っていないので、普通の商品と同じように売買されます。日本のように携帯電話機を買うのに免許証や印鑑などを要求されることはありません。

 電話機を買って、SIMカードを1枚装着すれば、すぐに使えます。 カード1枚には電話番号は一つだけですが、一台の電話機にカードを何枚差し替えて使っても構いません。実際、カードの値段は安いから、何枚も買う人もたくさんいます。だから電話番号がごろごろ変わる人も珍しくありません。

 それでは通話料はどう払うのかというと、通話料はすべて前払いです。SIMカードを買った時点で、何時間かの通話料がすでに入っています。その後の通話料は、それぞれの通信会社のプリペイドカードを買って、電話を使って
チョンヂー
(プリペイドカードのシリアル番号と暗証番号を入力することによって、その金額をSIMカードの口座に入金する)
します。もちろんこういうプリペイドカードは、街のどこでも買えます。

 日本では、お金のかからない「ただ」の携帯電話機はたくさんありますが、中国では通信会社は電話機本体とまったく関係がないから、電話機は無料になりません。今の段階では、携帯電話機は一番安いものでも一万円以上

イーチエンユエンヅオヨウ
(人民幣1000元前後)
はかかります。ですから、中国人は携帯を大事にします。日本のように使い捨てみたいな贅沢はできません。

 しかし、それは、みんな同じ携帯を使い続けるという意味ではありません。特に流行に敏感な若い子は新しいものが出てきたら、すぐに買い換えるという癖があります。
 こんなことができるのも中古の電話機を自由に売買できるからです。気に入らない電話機もまだいい値段で売れるからです。
 街を歩いていても、

ヨウショウヂーマイマ
(携帯を売りますか。) と聞かれることがよくあります。

 そうです。いまの中国では携帯の
アーショウ
(中古)
市場は大きいのです。なかには二、三千円で買えるものもあります。

 この「二手」(英語ではsecond-hand)という言葉は、二人目の人の手に入ったという意味で
ヂォウ
(古い)
と同義になりますが、「古い」という感じが薄れてしまうからか、みんな好んで使うようです。
 たとえば、中古車は本来
ヂォウチョー
と言いますが、
アーショウチョー
と言った方が感じがいいかもしれません。実際どちらを使っても問題はないのですが。

 ちなみに中国語の
グー
という漢字は「古い」ではなく「古くて価値が高い」という意味合いが強いから、本当に古くてボロになったものには使いません。

 携帯を使う人の人数は中国が世界一という報道がありました。しかし、中国は大きいし、人口も十三億人もいます。経済状況は地方によっても人によっても千差万別です。携帯の新品を買える人もいれば、そうでない人もいます。携帯の中古市場はもうしばらく存在するでしょう。

--- 次号に続く ---


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