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予算の都合により、しばらくの間、音声は付いていません。 |
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39. | 子は何のために? | |
(q?zi)(妻と子ではなく、中国ではたんに妻の意味)、 (taozi)(女性の名前ではなく、中国ではたんに桃の意味)、 (y?zi)(これは日本と同じイスの意味だが、たんに椅だけでもイスの意味になる) のように、後ろに意味の無い「子」が付いている単語があるが、何のために「子」が付いているのか、という質問をいただきましたので、お答えしたいと思います。 これらの単語は「子」が付いても付かなくても意味は同じなのですが、一般には語感を柔らかくし親しみやすくするために「子」が付いていると考えられます。 でも、たんに言葉を柔らかくするためだけなら、すべての単語に「子」がついていてもよさそうですね。なぜ特定の単語だけにこの意味のない「子」が付いているのでしょうか。 その理由を説明するものとして、以下のような説があります。 まず、妻子、桃子、椅子といった単語は「子」を取り除くと一文字の単語になってしまいます。この場合、会話の中で使われると、同音の単語が他にもたくさんあるため、他の単語と間違えられてしまう可能性が高くなります。このように同音の単語が複数存在して間違えやすい場合に、誤解を防ぐために、後ろに意味のない「子」という漢字を付け加えて他の単語と区別するようになったと考えられます。 もちろん「子」以外の漢字を付け加えてもいいわけですが、「子」はイメージがよく親しみやすい漢字であるし、この漢字をつけて発音すると語感も柔らかくなってよかったので、この組み合わせが定着した。 というわけで、特定の単語に意味のない「子」がつくようになった、というわけです。 もちろん、これはあくまで一つの説であり、本当のところはどうだったのか、よくわかりません。(言語学というものは、あくまで学者たちが自分たちの考えで作ったものであり、数学のように厳密なものではありません。うまく説明できないことや複数の説があったりすることはたくさんあります。) これとよく似たものに「r化の儿」がありますね。 たとえば (絵を)描くという意味の(hua)(動詞) と 絵という意味の(hua)(名詞) を区別するために、名詞のほうは (huar) というふうにr化するという習慣がありますが、この「儿」も意味のないもので、「子」と同様の使い方になっています。 この「儿」は日本の漢字では児童の児という文字です。このことからわかるように、これらの「子」も「儿」もどちらも元々は子供を意味していたという点で共通性があります。 そして「子」のほうは子供の持つ「可愛らしさ」のイメージはなくなっていますが、「儿」には子供に由来する「可愛らしさ」のイメージが残っています。 そこで北方の中国人、特に北京人は「r化」の言葉を好んで使う傾向があります。 ところが、「r化」の言葉は北方の人専用です。 南方の中国人のほとんどは、そり舌音が発音できませんから、「r化」の発音もできないのです。つまり、南方では「r化」した単語はほとんど使われていません。 ところで、これらの「儿」や「子」が言葉を「柔らかくする」とはどういう意味なのかわからないという質問もありましたので、説明しておきたいと思います。 実は、日本語にもこれに似たものがあります。「お菓子」の「お」です。 日本では「菓子」も「お菓子」も意味は同じなのに、必ず「お」をつけて「お菓子」と言う習慣がありますね。 「菓子」というと硬い感じがしますが、「お菓子」というと語感が柔らかくなるでしょう。 この「お」は言葉を柔らかくするはたらきがあるので、中国語における「子」や「儿」の働きに似ていると思います。 おもしろいことに、日本では、小さな子供に話しかけるときには、何にでも「お」をつけようとする傾向がありますね。「おマンマ食べようね。」とか「お昼寝しようね。」とか「おリンゴ食べようね。」とか「お片づけしようね。」とか「おりこうさん。」とかです。 これらの「お」は、言葉を柔らかくしたり、やさしくしたりする性質があるために、子供向けの言葉として使われているのではないでしょうか。 そのうちに子供が大きくなって、おとなになってきたら、だんだんと「お」を付けなくなりますね。でも、なぜか「お菓子」だけは、いつまでたっても「お」をつけるんですね。 これは、「お菓子」が本来は子供向けのものだからなんではないでしょうか。 (これもあくまで、一つの説ですが・・・) さて、そり舌音のお話が出てきましたが、これから、日本人にとって難しい中国語の発音について、とっておきの発音のコツを解説していきたいと思います。 (次回に続く) |
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今回は短いですが、ここで終わりにします。 (2008年07月30日) |
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