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下記文章中、赤色の漢字は中国語です。ピンインをクリックすると音声を聞くことができます。 |
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40. | 難しい発音 | |
今回から、日本人にとって難しい中国語の発音について、とっておきの発音のコツをお話していきたいと思います。 難しい発音と言っても、大きく分けて、発声するのが難しい発音と聞き分けるのが難しい発音の2種類に分けることができると思います。 そして、日本人にとって、聞き分けるのが難しい発音の代表格は、単語(あるいは音節)の末尾のngの発音だと思います。中国人は単語の末尾のnとngの発音をきちんと聞き分けているのですが、ほとんどの日本人は単語の末尾のnとngの発音を聞き分けることができません。 では、まず最初に、単語の末尾のngがどういう発音なのか確認し、発音のコツを学んでおきましょう。 この音は、たとえば、 (tang) (キャンディー) (xing) (あんず) (hong) (赤) などの単語の末尾に出現しますね。 ちなみに (dan) (たまご) などの単語の末尾にあらわれるnの発音は英語と同じで皆さんよくご存知のことと思います。nの音は舌先を上の歯ぐきの裏側につけて発音するのでしたね。 ところが、末尾のngの音は、舌先をどこにもつけずに、代わりに舌の根元のほうを軟口蓋にくっつけて発音します。(軟口蓋とは、口の中の上側の壁の奥のほうのこと。)なお、発音するときに鼻から息を出すのは、nもngもどちらも同じです。 といっても、どうやれば舌の根元のほうを軟口蓋にくっつけられるのか、よくわからないでしょう。 でも、ご安心ください。実は、日本人は日常、この発音を使っているのです。 実は、日本語の たんご[tango](単語) しんぐ[shingu](寝具) ほんぎょう[hongyo](本業) などの単語の「ん」がngの発音になっているのです。 これらの日本語の単語を何度かゆっくりと発音してみてください(「ん」の発音のときには舌先をどこにもつけないように注意してください)。 「ん」の発音のときに、口の奥のほうがふさがっているような感じで、音が鼻にかかって、奥のほうから出ているような感触があるでしょう。これが、舌の根元のほうを軟口蓋にくっつけて「ん」の発音をしている状態なのです。このときの口の中の状態(感触)を覚えておきましょう。 これらの「ん」の音の次には「g」の音がついていますね。要するに、ngの発音をしたいときは「ん」の後ろに「g(ぐ)」の音がついているようなイメージ(あくまでイメージだけで、「ぐ」は発音しない)で発音するとよいのです。こうして発音すると、先ほど覚えた口の中の状態が再現できますね。 (ちなみに、これらの「ん」の発音のときに鼻から息が出ていることは、鼻をつまんで発音して見るとわかります。鼻をつまむと「ん」の発音がしにくくなりますね。) では、この要領で、 (tang) (キャンディー) をご自分で発音してみてください。 「たんぐ」と言うようなつもりで「ぐ」の音は出さないようにします。これがngの発音のコツです。 ただし、「ぐ」の音を出すときのように口をつぐんではいけません。口は開けたままにして、ちょっと間延びしたような感じで発音します。 以下、同様にして (xing) (あんず) (hong) (赤) の発音も練習してみてください。 ところで、発音の仕方はわかったけれど、どの単語がngで終わり、どの単語がnで終わるのかすぐ忘れてしまい、なかなか覚えられない・・・という人も多いですね。 そこで、どの単語がngで終わるのかを覚えるためのコツもお話しましょう。 それは、日本語の読み方が「ん」の発音で終わる漢字は中国語ではnの発音で終わるものが多く、日本語の読み方が「い」や「う」の長音で終わる漢字は中国語ではngの発音で終わるものが多い、という規則性を使って覚えることです。(これは、漢字が日本に伝えられたときの発音と現在の発音が少し違っているためと考えられます。同じ漢字でも、時代や地域によって少しずつ発音が違ってきているのです。) たとえば、糖(とう)は「う」で終わっていますから、中国語ではtangというふうにngで終わる発音になり、蛋(たん=蛋白質(たんぱくしつ)の蛋(たん))は「ん」で終わっていますから、中国語ではdanというふうにnで終わっています。 ただし、例外もいくつかありますから、単語を覚えるたびに確認しておきましょう。 では、次に単語の末尾のnとngの発音を聞き分けるためのコツについてお話しましょう。 これに対する対処法は極めて簡単です。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ その対処法とは・・・・・・・・・・なんと、あきらめることなんです。 日本人にとっては、これらのnとngの音の違いは微妙な違いでしかなく、速く流れる会話の中でこれらを聞き分けることはほとんど不可能なのです。 このnとngの区別は、実は、長年中国語を話してきた中国語の教授(日本人)でさえ聞き分けられないと言っているくらいですから、普通の日本人がいくら訓練しても聞き分けられるようになるものではないと思います。 実は、最近になって科学的に解明されてきたことなんですが、生後4~6ヶ月頃の赤ちゃんは、すべての言語の音韻を聞き分けることが可能(つまり、人類が使いうるすべての音韻を区別できる)なのですが、生後10ヶ月~12ヶ月頃になると、母国語の会話に必要な音韻だけ聞き分けられるように脳の仕組みが変わってしまうことがわかっています。そして、この仕組みはその後、一生変わらないのです。 つまり、音韻の認識能力は赤ちゃんのうちに母国語用にチューニングされてしまうのです。 日本人がnとngを聞き分けることが苦手なのはこのためで、日本人にとってはnとngは微妙な違いにしか感じられません。訓練すれば聞き分けられるようになるようなシロモノではないのです。 したがって、このnとngの区別を聞き分けられるようになろうと、時間をかけて訓練しても、はっきり言って時間の無駄です。その時間を他の学習に回したほうが賢明なのです。 nとngの区別は、発音を聞き分けようとするよりも、全体の文脈から単語を判断しようとするほうがはるかに効率的なのです。 では、次に、発声するのが難しい発音について解説しましょう。 まず最初に、日本人にとって一番発声の難しい発音の代表格は無気音でしょう。無気音の発音がよくわからなくて、濁音でごまかしている人も多いことと思います。 たしかに濁音でごまかしても中国人には通じますのでかまわないのですが、しかし濁音はきれいな発音ではありませんので、できるだけ本当の無気音の発音の仕方を学んでおきましょう。 これまでの教科書では、有気音は息を吐きながら発音し、無気音は吐かずに発音すると書かれていました。ティッシュペーパーを口の前にぶら下げて、有気音のときはティッシュペーパーがたなびいて、無気音のときにはたなびかないようにする・・・・といった練習方法まで書いてあったりします。 これらの解説は決して間違いとは言えませんが、重要な要素が一つ欠けています。そして、それを学ぶと、無気音は簡単に発音できるようになります。 それを次回お話しましょう。 (次回に続く) |
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今回は、ここで終わりにします。 (2009年01月20日) |
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