下記文章中、赤色の漢字は中国語です。ピンインをクリックすると音声を聞くことができます。 |
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42. | 難しい発音(その3) | |
さて、日本人が苦手とする発音をもう少し挙げておきましょう。 一つは、そり舌音(捲舌音)です。そり舌音にはzhとchとshとrの4種類があります。 まずzhとchの発音の仕方を説明しましょう。 そり舌音という名前の通り、舌を反り(そり)上げるわけですが、下の口腔の断面図のように舌先を上の歯茎の後ろにくっつけます。 (口腔の断面図) もう少し詳しく説明しましょう。舌先を上の前歯の裏側から上のほうへなぞっていくと、出っ張ったところがあるのがわかると思います。その出っ張ったところからさらに上になぞっていくと急な絶壁のようにへこんでいますから、出っ張ったところは明確にわかると思います。この出っ張ったところの少し上あたりに舌先をくっつけるのです。(図をみながら自分の舌先でなぞって確かめて下さい。) そして、舌先をくっつけているところに息をため込むような感じにして、発音する瞬間に舌先をほんの少し離すことによって、そこを息が通過するようにして音を出します。 この状態で強く息を出しながら発音すると、息が摩擦するような音になります。これがchの発音です(なお、子音単独では発音練習にならないので、通常は後ろにi(イ)の母音をつけてchiという発音で練習する)。chは有気音ですが、日本語のチという音とは異なる発音です(日本語のチはqiの発音に近い)から、注意して発音しましょう。 一方、zhもchと同じ舌の構えで発音します。やはり摩擦するような音を出すのですが、zhは無気音ですから、息の出る量は少なくなります(無気音の発音の仕方については前回の記事を参照のこと)。 では、以下の単語でzhとchの発音を練習してみましょう。(ピンインの部分をクリックして少し待てば発音が聞けます。) (冷え性) (眼球) ((文房具の)クリップ) (駅) (醜い) 次にshの発音ですが、これも舌の構えはzhやchと同じですが、ただし舌先はくっつけずに少し離します。そして強く息を出すことによって、舌先を通る息の摩擦音を発生させます(なお、子音単独では発音練習にならないので、通常は後ろにi(イ)の母音をつけてshiという発音で練習する)。shは有気音ですね。 では、以下の単語でshの発音を練習してみましょう。 (医者) (右手) (ピーナッツ) 次にrのそり舌音ですが、まずi(イー)という発音を続けながら、段々と舌先をそり上げていって、先ほどの口腔の断面図で示された位置まで舌先を近づけていって下さい(ただし舌先はくっつけずに少し離した状態にすること)。すると、「イー」と言っていた音が「ジー」に近いような音に変わりますね。これがriの発音です。このときの舌の感覚をよく覚えて下さい。日本語の「ジー」という発音とは全然違いますので、日本式に発音しないように注意して下さい。 では、以下の単語でrのそり舌音を練習してみましょう。 ((性格が)優しい) (感染) (お客様) üの発音(üは頭に子音が付かない場合はyuと表記する)も日本語には無い発音ですね。 この音はi(イー)を発音しながら、唇だけを丸くすぼめてuのときのようにとがらせてみてください。すると、少しユの音が混ざったようなイの音になると思います。これがüの発音です。 これを日本語のユと同じように発音する日本人が多いですが、ユとは全然異なる音なので注意しましょう。 日本人にとっては、i(イ)の音によく似ていて聞き分けることは困難(聞き分けるよりも文脈で判断したほうが容易)なようですが、üの音とi(イ)の音を並べて聞き比べると違いがわかると思います。 また、qやjやxにüがくっつく場合は、quやjuやxuのように表記します。つまり、üの代わりにuと書きますので注意して下さい。(これはqやjやxの後ろにu(ウ = wu)の母音がくっつくことは絶対にありえないので、üの代わりにuと書いても(中国人は)間違えることがないからです。) では、以下の単語で練習してみましょう。 (クッキー) (LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)) (ダウンコート) (次回に続く) |
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今回は、ここで終わりにします。 (2010年01月27日) |
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