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45. | 難しい発音(その5) | |
前回、簡体字の入力方法については、vol.037に記載されているPDFファイルを見ればいいと書きましたが、この文書の中にはピンインの の文字の入力方法を書いていなかったですね。 実は の入力の仕方については既にvol.035で書いているのですが、念のため、ここで再度説明しておきます。 を入力したいときは、キーボード上のv (ヴィ)のキーを押せばいいのです。 例えば、 (~さん(女性に対する敬称) ) を入力してみましょう。 これはnvshiと打ち込んで変換すればいいですね。 女士 さて、今回は声調についてお話し致します。 日本人は声調をよく間違えたり、声調を覚えづらいと言う人が多いですね。 しかし、声調はとても大切で、これを間違えると意味が通じなくなってしまいますので、しっかりと覚えるようにしましょう。 声調は一つの漢字ごとに覚えるのは難しいですから、一文字ずつ覚えようとはせず、いくつかの漢字の組み合わせ、つまり単語ごとに一まとめに覚えたほうがいいです。 声調についてはvol.013でも少し触れましたが、ここで再度、声調の音の高さについてお話しておきましょう。既知の人は読み飛ばしても結構です。 まず下図を見て下さい。図中、黒色の点線が標準的な音の高さを表し、各声調の音声の高さ(および高さの変化)は赤色の矢印線で表しています。(なお、音声の高さは、あくまで相対的なものであり、自分の出しやすい平均的な音声の高さを標準として、第一声はそれより高い声で、第三声はそれより低い声で、といった感じで発音します。) 図のように、第一声は高音のままで発音し、第二声は標準的な音の高さから高音に変化し、第三声は低音のまま(少し下がって上がりますが)、第四声は高音から低音へ一挙に変化して発音するというのが基本です。 では発音練習してみましょう。 これらのうち一番注意が必要なのは第三声だと思います。 まずポイントからお話しておくと、第三声は、音の高さが下がったり上がったりしていること自体はあまり重要ではなく、重要なことはとにかく低い音だということです。 (前半は思いっきり音を下げようとして、その反動で後半が上がってしまうという感じであり、上がる部分は無くても単語としては意味は通じます。重要なことはできるだけ音を下げるということです。) 慣れないうちは思いっきり低い音で発音するようにしてみて下さい。 そして、注意しなければならないことは、第三声はその前後にどの声調の漢字が来るかによって、音の高低が変わるということです。 まず、第三声+第一声、第三声+第二声、第三声+第四声というように、後ろに第三声以外の漢字がつく場合は、第三声は前半の下がる部分だけが発音されます。 海湾、湾 海洋 津波 第三声の後半が上がるのは、あくまで第三声が末尾に来たときだけです。 もう一つは、第三声+第三声のように第三声の後に第三声が連続してひとつながりに発音されるときは、第二声+第三声に変化して発音されるということです。 たとえば、 チョーク という感じです。 これらは辞書にもいちいち書かれていない場合がありますので、注意しましょう。 第三声以外にも後にどの声調の漢字が来るかによって、声調が変わる漢字があります。 一つは不(bu)です。 この漢字は、後ろに第一声または第二声または第三声の漢字がつく場合は、本来の第四声で発音されますが、後ろに第四声がつく場合は第二声(不(bu))に変わります。普通の辞書では、このような変化は表記されず、そのピンインが常に第四声で表記されることが多いので注意が必要です。 例) よい、悪くない もう一つは数字の です。これも、普通の辞書では、常に本来の声調(第一声)のピンインが振られていることが多いですが、実際に発音するときは、後ろにどの声調の漢字が来るかによって声調が変わり、後ろに第一声または第二声または第三声の漢字がつく場合は第四声で発音され、後ろに第四声がつく場合は第二声に変わります。 例) 普通である、一般的である、同様である、同じである 一皿 いっしょに 必ず、きっと ただし、 の一や 「人生の第一歩を踏み出す」 の第一のように、序数を表す場合や、一つの単語の末尾となっている場合は、後ろにつく音とは関係なく本来の第一声になります。 さて、声調には第一声、第二声、第三声、第四声の他に軽声というのもありますね。 軽声というのは文字通り軽く発音する声調ですが、その音の高さについては教科書にも書かれていないことが多いようですね。 軽声の音の高さについては下図を参照してください。 図のように、第四声に続く場合だけ低い音で発音し、あとは標準的な高さで発音します。 では、発音練習してみましょう。 お母さん 息子 お姉さん お父さん ただし、軽声はそれほど重要ではありません。軽声を普通の声調(その漢字の本来の声調)で発音してしまってもあまり問題にはならないのです。 辞書のピンインはあくまで学者がつけたものであって、必ずしも、中国人がその通りに発音しているわけではありません(テレビのアナウンサー等は辞書通りに発音していても、一般庶民の発音は違っていたりします)。辞書では軽声になっていても実際の中国人は本来の声調で発音しているということもよくあるのです。本場の中国人でさえこうなのですから、日本人が軽声を覚えるのに神経質になる必要はありません。 ただし、物の意味の と東西の意味の のように、軽声で発音するかそれとも普通の声調で発音するかによって意味が違ってくる単語もありますので、このような単語の場合は軽声をしっかりと覚えておく必要があります。 |
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今回は、ここで終わりにします。 (2012年01月31日) |
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