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48. | 発音の補足その他 | ||
さて、「中国語の動詞は名詞としても使える」ということに前回ちょっと触れました。 これについて、例文を使ってお話ししておきましょう。 たとえば、 [動詞] 好む、好きである という動詞と [動詞] 愛する という動詞をそれぞれ名詞のように使って、 好きであること(名詞)と愛すること(名詞)は違う といった文を作ることができます。 また、動詞単体が名詞として使えるだけでなく、動詞に目的語などの補足的な単語を付けてひとまとめに名詞として使うこともできます(動詞句の名詞化)。 たとえば、 [動詞] 研究する、検討する という動詞に目的語として [名詞] ウイルス を付けた ウイルスを研究する という表現をひとまとめに名詞化し、 彼女の仕事はウイルスを研究することである というような文を作ることもできます。 あるいは、 [動詞] 洗う という動詞に 長い髪 を目的語として付けた 長い髪を洗う という表現をひとまとめに名詞化し、 長い髪を洗うのはとても面倒だ というような文を作ることもできます。 ただ、これらは文が名詞化していると解釈することもでき(動詞単体だけでも文(一語文)を構成できる)、動詞が名詞化しているわけではないと考える学者もいます。 このように文法的には学者によっていろいろな説がありますが、ここで強調しておきたいことは、文法的にどう解釈するにしろ、「動詞は名詞としても使える」という性質を頭に入れておくと、名詞としての意味を暗記する労力が省けるということです。 ただし、逆は必ずしも真ならずで、名詞の単語は動詞としても使えるということにはなりません。 例えば、 [名詞] お金 は動詞として使うことはできませんね。 --------------------------------------------------------- では、再び発音の話に戻りましょう。 最近は、中国語の中にも英語のアルファベットを含んだ外来語がたくさん取り込まれてきています。このとき注意しなければならないのが、英語のアルファベットの中国式読み方です。 例えば [名詞] X線、エックス線 という外来語がありますが、音声を聞いてみると、Xというアルファベットが「エックス」というよりも「アイクス」のように読まれていますね。 英語のアルファベットについては、日本でも、例えばHを「エイチ」でなく「エッチ」と読んだり、Aを「エイ」ではなく「エー」と読んだりというふうに、日本人独自の読み方がありますが、中国にも同様に中国人独自の読み方があります。 先ほどのXを「アイクス」と言うように読むのも中国人独自の読み方です。 以下に、英語のアルファベットの中国人独自の読み方の代表例をリストしておきます。 (ただし、ピンインの中の / は「または」の意味です。) このように英語のアルファベットを含んだ単語を聞き取る際には、中国人独自のアルファベットの読み方に注意しましょう。 しかし困ったことに、英語のアルファベットの中国人独自の読み方は、地域によっても個人によっても違ったりしており、中国全体で統一されていません。 また、英語の得意な中国人の場合は、ネイティブスピーカーのような読み方をすることもあります。 こうなってくると、教科書や辞書で学んだだけではどうしても聞き取れない単語が出てくることがあるでしょう。そんなときは躊躇せずに、 ○○はどういう意味ですか? というふうに聞き返してみましょう。単語を使った本人に聞くのが一番手っ取り速いです。 --------------------------------------------------------- あとオマケとして、以前お話した、単語の末尾のnとngの発音について少し補足しておきましょう。 単語の末尾のnとngの音は、特に速くしゃべるときなどには最後の「ん」の音がほとんど聞こえない(ほとんど発音しない)こともあります。その場合でも中国人は末尾がnなのかngなのかを明確に区別できます。どうしてかというと、実はnやngの前の母音を発音する段階で既に音が微妙に違っているからです。この母音の微妙な音の違いによって、その後にnが付くとかngが付くとかいうことがわかってしまうのです。 中国人なら無意識に瞬間的に自動的に区別してしまうのですが、日本人が速い会話の中でこれらを区別することは難しいでしょう。というわけで、あくまで参考までに・・・というお話です。 ただし、それらをじっくりと聞き比べると、日本人でも区別できると思うので一度聞き比べてみましょう。 たとえば、 [名詞] 短い靴下、ソックス [数詞] 万 [動詞] 眺める、(遠くを)見る のそれぞれの単語の中のwa(ワ)という音を聴き比べてみて下さい。末尾のnとngの影響を受けてそれぞれ微妙に音が違うことがわかるでしょう。 |
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今回は、ここで終わりにします。 (2013年08月30日) |
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